埼玉県公立高校入試が近づいてきました。
受験生もいよいよラストスパートです。
集団進学塾に通う受験生の理科をフォローしているのですが、ここでまたまた集団進学塾の実態を知りました。
以前の記事はこちら→ 集団進学塾の実態
その生徒がこんなことを言いました。
「今年の理科の問題はこの分野が出るので、そこだけ勉強する」と。
その理由は、「塾で言われたから」だそうです。
入試問題をやまかけするって、どうなのでしょう。
これこそ応急処置的な対応です。
もちろん、今まできちんと勉強してこなかった受験生を相手にしているのでしょうから、応急処置は必要に迫られてのことなのでしょう。
でも、もし多くの塾がこんな指導をしていると考えると、ぞっとします。
このような指導を受けて育つ生徒はどうなるでしょうか。
自分の利益にならないことはしない、というような人間が育ってしまうのではないでしょうか。
しかも、そういう人間にかぎって、何かあったときにまわりの人や環境のせいにしたりするものです。
塾としては良かれと思ってやっていることなのかもしれませんが、これも手段と目的を勘違いしている現象の1つかもしれません。
目先の結果を追い求めるあまり、教育の目的を見失っているような気がします。
この話を聞いて、「7つの習慣®」の中にある黄金の卵を産むガチョウの話が頭に浮かびました。
黄金の卵を手に入れたいという欲望のあまり、黄金のガチョウを殺してしまうという話です。
黄金の卵は結果(P)、黄金のガチョウは能力(PC)です。
目先の入試の結果(P)を出すために、生徒の能力(PC)をつぶしてしまっているとしか思えません。
これが教育と言えるのでしょうか。
そして、そんな塾に多くの生徒が通っているというのが現実です。
中には、学校の授業では寝てばかりのだらしない生徒ですら塾に通っていると聞きます。
なんのために塾に通っているのかはなはだ疑問です。
本末転倒なのではないでしょうか。
子どもたちの未来が、日本の未来が本当に心配です。
これから先、人生でどんなことが起こるかわかりません。
何が起こっても対応できるような知識や知恵、精神力や生きる姿勢を身につけるのが教育です。
それなのに、入試という人生の大きな節目のときでさえ、このような姿勢では、これから先の人生が危ぶまれます。
予期せぬ事態に陥ったときに、それはやっていないからと放棄するのでしょうか。
自分の人生を投げ出すのでしょうか。
教育の目的は、未来の社会のために、子どもたちを黄金の卵を産むガチョウに育てていくことです。
それは、学校も塾も家庭も同じだと思います。